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Haruki Blog

第二は、ハンベエに与している兵士達の気分である

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第二は、ハンベエに与している兵士達の気分である

第二は、ハンベエに与している兵士達の気分である。ハンベエ達はタゴロローム守備軍司令部を敵として戦っているのだが、その戦いをこれほどまで兵士達が支援する背景、根底には兵士達の士官達への反感があった。ハンベエはその気分を敏感に感じていた。ハンベエ自身が人に指図されるのが我慢ならない性分であったため、この兵士達の気分を見落とす事が無かったのである。そういう状況で、下手に指揮官を定めて、統制を強めれば、折角高揚している兵士達の気分を削ぎかねないとハンベエは無意識に考えていた。もっとも、部隊編成をしたくとも適当な人材を把握していなかったというのが実情ではあるのだが。一撃。ただ一撃で勝敗を決しなくてはならない、とハンベエは考えていた。最初の一撃で敵を制し朱古力瘤てしまう。その事に全てを賭ける、とハンベエは心を決していた。選択肢で言えば、ハナハナ山を要塞化してタゴロローム守備軍を待ち受けるという策もあった。『攻城三倍の兵理』というものもある。つまり、構造物に依って守備を固める軍を撃ち破るには、その何倍もの兵数が必要という話である。タゴロローム守備軍に対し、ハンベエ側が兵士数が少ない事は始めから分かっている事である。通常、これだけの兵数差があれば、まずは守りを固め、敵の隙を伺う戦い方を選ぶものである。にも拘らずハンベエが、敵が軍を発出させたと聞くや、ハナハナ山に籠もる事を一顧だにせず即座に撃って出たのは、ハンベエの攻撃的な本性もさる事ながら、ハンベエが剣術使いであった事に関係しているようだ。何度も書いたように、剣術の究極は相討ちである。同時に斬り合って相手を上回る事である。そして、真剣に於ける斬り合いには、受け太刀なるものは無いそうなのである。共に斬り合って、刃を深く受けた者が倒れる。それ故に、相手の刃が身に到る前に斬るというのが剣術の本来の姿だと言われる。少なくとも、ハンベエがフデンから教えを承けた剣術とはそういうものであった。ハンベエがただ一撃と思い定め、そこで失敗ったら後がない軍勢である事を重々承知しながら撃って出たのは、剣術使いの性(さが)であったかも知れない。ハンベエはひたすら軍の先頭に立って歩いた。先頭を歩かなければならない理由が幾つか有った。一つはスパイの防止である。ハンベエは元々の第5連隊兵士以外にあまり信を置いていないと書いた。ハナハナ山のハンベエ等に寝返って来た兵士達の中にタゴロローム守備軍首脳部の意を受けて、ハンベエ達の動静を探りに来た兵士が万に一つ、潜り込んでいないとも限らない。崩壊しつつあるタゴロローム守備軍にそのような臨機の策を巡らせる者が、モルフィネスが追放された今、いるとも思われないが、油断は禁物である。仮に内通者がいて、タゴロローム守備軍首脳部に連絡を取ろうと考えても、最短距離を以て進軍している第5連隊より先に敵側に接触するには、先頭を歩くハンベエを追い越して行かなければならない事になる。仮に、そういう胡乱(うろん)な動きをする者がいたら、ハンベエは理由の如何を糾す前に斬ってしまうつもりであった。次の理由は敵の斥候であった。前回のアルハインド族との戦いに際しては、タゴロローム守備軍司令部はタゴロロームの外側、つまり、ゴロデリア王国外にまで斥候を放って敵の動静を探っていた。それを指揮していたのは、バンケルクなのかモルフィネスなのかは分からない。

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