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「この家は、もてなすために豚を大量虐殺するかと思えば、眠れない孫娘のために羊を増やしてみたり」
いや、あの豚、おばあちゃんが虐殺してきたんじゃないんですけど……、
と思ったとき、蓮太郎が振り向き、笑って言った。
「お前は実家での愛には恵まれなかったかもしれないが。
充分愛されてるな」
ホッとしたように言う蓮太郎に、幼兒教材 なんだかちょっと泣きそうになってしまった。
たまたまコンパで一緒になっただけの。
仮の愛人契約を交わしただけの私なんかのことをそんなに心配してくれるなんてと思ったのだ。
……でも、なんだかかんだで、この人やさしいから、誰に対してもこうなんだろうな、とも思う。
「井戸に冷やしてたスイカ、そろそろ冷えたんじゃない~?」
と梢の声が聞こえてきた。
蓮太郎が張り切る。「よしっ。
幽霊女とスイカを引き上げるかっ」
「幽霊女は引き上げなくていいですよ……」
井戸の中に置いといてください、と唯由は苦笑いしながら、蓮太郎について行った。
浴衣といえば花火だ、と梢が言うので、みんなでちょっと早い花火を楽しんだあと、蓮太郎が帰ると言い出した。
「なによ。
泊まっていけばいいのに。
なにしに来たのよ」
そう梢に言われ、唯由は、
……ほんとうに、なにしに来たのでしょうね、我々は、
と思っていた。
練行に挨拶をしたあとは、美味しくスイカを食べ、うさぎを眺め、昼食を食べ、うさぎを眺め、屋敷を散策し、羊を眺め、うさぎを眺め、夕食を食べ、うさぎを眺め、花火をして――
一足早い夏休みを満喫した。
「お世話になりました。
ありがとうございました」
と頭を下げる蓮太郎に残念がりながらも梢と雅代は、
「まあ、二人きりの方がいいわよね」
「そうですね。
引き止めるのも野暮ですよね」
と言って笑い合う。
……なにも野暮ではありませんよ。 蓮太郎は近くにあったうさぎ小屋に向かって、
「世話になったな」
と言っていたが、なにも世話をしていないうさぎは、寝てるか、はむはむしてるか、突っ立って、はむはむしてるかで。
相変わらず、人の話を聞いているのかいないのかよくわからなかったが。
まあ、可愛かった。
蓮太郎も会話が通じていないのはわかっているようで。
「……うさぎの頭の中、宇宙人並みに想像できないな。
なに考えてるんだろうな」
と呟いていた。
いや、あなた宇宙人の頭の中、想像したことあるんですか、と思う唯由を振り向き、蓮太郎が言う。
「まあ、お前の頭の中は、うさぎや宇宙人以上にわからないが」
なんですか、その言ったもんがち。
私もあなたの考えてること、さっぱりわかりませんよ~と思っている間に、蓮太郎は梢たちに頭を下げて言っていた。
「ぜひ、一度、うちにも遊びにいらしてください。
雅代さんも」「ありがとう。
また来てね。
唯由をよろしく」
と梢が言うと、蓮太郎は、
「はい。
大事に扱います」
と私は実験器具か、というようなことを言っていたが、梢たちは笑っていた。
ライフルじゃなく、巨大な懐中電灯を担いだ練行が、
「夜道は暗いからこれを持っていきなさい」
と言う。
唯由たちがタクシーではなく、最終のバスで帰ると言ったからだ。
「だ、大丈夫だよ。
スマホのライトがあるから」
と唯由は重すぎる祖父の愛を断った。
それ、懐中電灯っていうより、サーチライトっていうか。
バスに持って乗ろうとしたら、たぶん、バズーカかなにかと間違われて乗車拒否される……と唯由は思っていた。「ありがとう、おじいちゃん。
また来るね~」
「お母さんに、たまには顔を出せと言っておいてくれ」
「……いや~、お母さん、私も滅多に見かけないんで」
と希少動物のように母を言い、じゃあ、とみんなに手を振った。
広い道に向かって坂を下る。
しばらく行って振り返っても、まだ何処からともなく湧いてくる人たちとともに、みんな手を振ってくれていた。
「……お前のじいさんちは二、三人知らない人が混ざって住んでてもわからないな」
「座敷童とかも混ざってるかもしれないですね」
そんなことを言いながら、虫の音の響く真っ暗な田舎道を二人で歩く。
スイカを食べたあの川の音がすぐ横に聞こえていた。
「星がすごいな」
蓮太郎が空を見上げる。
1. 無題
있다면 언제든지 찾아뵈 것입니다. 감사합니다.