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Haruki Blog

「少し話したい

「少し話したい。」と第七師団長のクービルがボーンの所へやって来たのは、そんな中のコデコトマル平原駐屯の夕刻であった。クービルは介添えとして連隊長の一人サンテーラを伴っていた。介添えを伴ったのは、謀叛の密議等とあらぬ疑いを受けた場合の用心である。ボーンは顔を合わす都度、殺気とまでは言わないが強い圧を送って来るこの剣の達人と席を共にするのは気が進まなかったが、断るわけにも行かず自分も副官を同席させて受けた。「同じ十二神将の馬鹿が不快な思いをさせているだろう。済まぬな。」とクービルは切り出した。「分かってるのなら、止めさせてもらいたいな。俺の手下にも血の気の多いのもいる。部隊の周辺で胡乱な動きをする奴を見付けたら、どんな間違いが起こるか分からん。王女軍の間者と間違える事だとて有り得るからな。」忠告はしたのだが、ナーザレフは一応教祖、私は弟子の身。限界がある。」「良く分からんが・・・・・・。international high school その詫びを言いに来たのでもないだろう。本題を聞こう。」「そうだな。では、尋ねる。前回の会議で、貴公の発言により貴族軍との衝突を回避できたのであるが、その真意は?」「真意?」「そうだ。コノバックの言うように貴族達とは最終的には利害が衝突するから、あの時貴族軍を攻撃する選択肢も有ったと思うのだが。」前回の師団長を中心した会議において提案が太子ゴルゾーラに採用されて以降、ボーンの身辺に蠢く嫌な連中が発生していた。腕利き諜報員として鳴らしたボーンである。当人も配下もすぐにそれに気付いたが、ボーン指示の下素知らぬ顔をしていた。知らぬ顔はハンベエの専売特許ではないようだ。身辺を窺っているのはナーザレフ配下十二神将のタンニルとその配下であった。この人物はボルマンスクでイザベラの尾行に迂闊にも気付かなかった、忍びとしては二流の腕前であったが、教祖ナーザレフにはどうやらそれを見抜けるほどの人物眼は無いらしい。クービルに釘を刺されたにも拘わらず、ボーンの周辺を嗅ぎ回らせて隙あらばの指示を出していた。「それも一策だが、クービル殿も俺の提案に反対しなかったじゃないか。」「まあ、悪くない策だと思ったからだが。」「じゃあ、別に問題ないじゃないか。」「もし、我が教祖ナーザレフが言ったように、ノーバーとハンベエが通謀していて、死んだはずのモスカ夫人がその背後で画策しているとしたら、どうなる?」とクービルは質問の向きを変えた。この質問にボーンは即答しなかった。ボーンはそもそもモスカの生存を否定している。そして、ナーザレフの説明を聞き、変装の名人イザベラの工作であるとの思いをより強くしていた。第一、良く知るハンベエの性格から考えて、モスカ夫人と通じる等の事は噴飯物であった。だが、それをこのナーザレフ配下の十二神将クービルに率直に教える事には危険なものを感じていた。目の前に居るクービル自体には剣の達人としての威圧感が有るだけで、敵意までは見受けられない。しかし、その背後にいるナーザレフからは何やら偏執狂的な憎悪を向けられている事は疑いない。(ナーザレフの憎悪は、俺がラシャレー閣下に推薦された事と無関係では有るまい。それ故に、俺の進言はどうあろうと排除しようという妄念に取り憑かれているのだ。) 迂闊な事を言えば、どう曲解して太子に吹き込まれるやら分かったものではない、と身構えざるを得なかった。「ナーザレフ殿の言うことが真であっても、クービル殿も言われていたように、あの道に貴族軍を追い込んでしまえば、我等と王女軍の合戦の妨げにはならないと思っているが。」 ややあって、ボーンはそう答えた。

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